知ってっかア、あすこの神社のご神体の脇んとこに穴が開いててさ、そのなかに入れたもんはぼ、ぼう、膨張すんだって。それで崇んとこの兄ちゃんは腕っ節が強くなったし、隣のクラスの藍子が巨乳なのは穴におっぱい突っ込んだかららしいぜ。
 俺らもちんちん入れてみようぜ、と、当然のごとく俊雄に言われて、当時俊雄の取り巻きだった僕らは連れ立って問題の神社まで出向いたのだ。穴はなるほど、子供の僕らの腕が付け根まで余裕ですっぽり収まるくらいの大きさで、奥は薄暗かった。誰も、穴の奥を詳しく覗き見ようとはしなかった。
「よしちゃんからいけよ」最初に可哀相なその役を押しつけられたのはいつも使い走りをやらされていた芳史だ。「う、う、うん」「何渋ってんだよ、怖いのかよ」「そそんなことないよ」言いながらすでに涙目になっていた芳史だが俊雄に逆らえようもなく、ご神体と穴と芳史を取り囲むように立っていた僕らに背を向けると渋々ズボンをまさぐりだした。ズボンとパンツまで脱いだのは、芳史なりの見栄だったのだろうと思う。僕らはずり下げられたズボンとパンツから覗く芳史の生白い尻を並んで眺める恰好となった。
 芳史は声ひとつ上げなかったから、そのとき僕らは芳史の剥きだしの尻の肉が脈打つようにぶるんと痙攣したことしか判らなかった。細く長い屁をひって宙に浮いたと思ったのは、芳史の背丈よりも大きく膨張したちんちんが芳史の体を突き上げている所為だった。ちんちんはどこまでも伸びて芳史は空高く舞い、にわかに慌てた僕らが大人を呼んできた頃には芳史の姿はすでにどこにも見えなかった。ヘリを飛ばしての捜索も行われたが、行けども行けどもちんちんだった。だから芳史は今でも上空に居るのだと思う。
 そのときその場に居合わせた僕らは以来何をどう頑張ってみても役立たずで、ちんちんの近くでは松茸がよく採れる。