女の子は体毛が薄いと世間一般には思われているけれども、どうして体じゅうには男女問わずあるかなきかでも産毛というものが生えているのであって、それはちょっとした水の流れを妨げたり肌触りを著しく損なったりするのである。ざりざり。
 抱き合うと肌のぶつかり合う音よりも密着させた体の下で互いの産毛がどんなふうに絡まり合っているのかが気になってしまう。産毛とはいえこれだけ隙間なく抱き合えば絡まり合いくらいするでしょう。結果、いいだろ? いいだろ? と訊かれてもごめんなさい産毛がと言っては振られてしまう。
 剃刀を滑らせて産毛を剃る。安全剃刀なんかじゃ駄目で、安全剃刀なんぞと謳いつつもあれはけっこう危険な代物で横滑りにより何度皮膚を切ったか知れないのだけれども、とにかく一枚刃のギラギラと切れ味のよい剃刀を肌に当てて滑らせてゆく。刃の上にこんもりと産毛が溜まる、よくもまあこれだけの毛が体じゅうに生えていたものよ。
 すべらかな肌触り、何の摩擦も起こさないさらさらに陶酔して剃刀を滑らせる滑らせる滑らせる、あ、と思った瞬間剃刀は皮膚に喰いこんでいる。血、
 血血 血、             血

 血。

 嗚呼、また、やっちゃった。