黒い花から柱頭の赤く色附いた珍妙な雌蘂が二本蠢いているナと思ッたら、それは雌蘂でなく赤いヒィルを履いた小さな女の脚だッた。花と思ッたのは捲くれて拡がったスカァトだッた。
 イツからそうしていたのだか、私が発見した時には体力の消耗が劇しく意識も混濁し始めており、どんな訳でこんな処に逆サマに嵌まり込む羽目に陥ッたのだか一向判然としない。
 只、私の通り掛かったのをコレ僥倖とあらん限りの力で脚をバタバタやりながら「お救け下さいお救け下さい」と悲痛な聲で訴える。スカァトの花は棚引き、柱頭のヒィルは今にも脱げ落ちそうに爪尖らへんでブラついた。
 勿論私は女を救けてやるのは吝かではないのだが、勢いよくバタバタやる雌蘂のような両脚の間から覘く、雄蕊群のようなレモンエローのパンティが気になッて、ついつい、手が宙ぶらりんの儘、止まッて了う。